ボッチャを初めてやった人と、10回やった人と、100回やった人。何が違う?

ボッチャを初めてやった人に、

「ボッチャってどうでした?」

と聞くと、多くの場合、

「楽しかった!」

「意外と難しい!」

「もっと近づけたかった!」

という答えが返ってきます。

では、10回やった人は?

100回やった人は?

同じボールを投げているのに、見えているものが少しずつ変わっていきます。

そして、この変化こそが、ボッチャの面白さなのかもしれません。


1回目のボッチャ

「近づける」ことが面白い

初めての人が最初に考えることは、とてもシンプルです。

「白いボールに近づけよう。」

投げる。

転がる。

止まる。

「おお、近い!」

相手より近ければ嬉しい。

負ければ悔しい。

まずはそれで十分です。

この段階では、

ボッチャ=ボールを近づけるゲーム

です。

でも、まだ「なぜその場所に投げるのか?」までは、あまり考えていません。


10回目のボッチャ

「どこに置くか」を考え始める

10回くらいやると、少し変化が起きます。

ただ近づけるだけでは勝てないことに気づきます。

「ここに置いたら相手に弾かれる。」

「こっちに置いた方が邪魔になる。」

「相手のボールが近いから、ヒットした方がいい。」

ここで初めて、

「投げる場所には意味がある」

と分かってきます。

そして、

「寄せる」

だけだった選択肢に、

「ヒットする」

「ジャックを動かす」

「相手の進路を塞ぐ」

などが増えていきます。

1回目は、

「どうやったら近くに投げられる?」

10回目になると、

「どこに投げるのが一番いい?」

に変わります。


100回目のボッチャ

「自分がどうするか」から「相手がどうするか」へ

ここから一気に世界が変わります。

100回もやれば、投げ方だけではなく、

試合の流れ

を見るようになります。

例えば、

「ここに置けば相手はヒットを選ぶ。」

「でも、相手の残り球を考えると、ヒットさせた方が自分に有利になる。」

「今は1点を取るより、相手に1点取らせた方がいい。」

というように、

自分の一球だけを見なくなります。


100回やった人は「未来」を見ている

初心者は、

今の配置

を見ています。

10回くらいやった人は、

次の一球

を考えます。

100回やった人は、

その次、その次まで含めた展開

を考え始めます。

例えば、

「ここに寄せる」

だけではありません。

「ここに寄せる」

「相手はヒットする」

「そのボールがここに止まる」

「次はジャックを狙える」

「だから、今はこの場所に置く」

というように、

一球を単独で考えなくなる。


そして、もう一つ大きな変化がある

それは、

「ボールを見る目」が変わること。

初めての人は、

「一番近いボールはどれ?」

を見ます。

10回くらいやると、

「次にどのボールが邪魔になる?」

を見るようになる。

100回やると、

「このボールには、今だけではなく次の一球にも意味がある」

と考えます。

つまり、

ボールそのものではなく、配置を見るようになる。


100回やった人ほど「投げない」ことを考える

これも面白い変化です。

初心者は、

「自分の番が来た。何を投げよう?」

と考えます。

ところが経験を積むと、

「本当に今、投げる必要がある?」

と考えるようになります。

状況によっては、

  • 無理に攻めない
  • 相手に1点を取らせる
  • あえて安全な場所に置く
  • 相手の選択肢を残す

という判断も出てきます。

つまり、

初心者

「何を投げる?」

経験者

「どこに投げる?」

上級者

「そもそも、何をするべき?」

へ変わっていきます。


そして「技術」より「判断」の差が大きくなる

もちろん、100回やれば誰でも上級者になるわけではありません。

ただ、経験を重ねるほど、

「投げる技術」だけでは勝てない

ことが分かってきます。

同じ場所に投げられる2人でも、

どこを狙うか

が違えば結果は変わります。

だから、

「上手く投げる」

から、

「正しく選ぶ」

へ。

ボッチャの難しさは、ここから始まります。


1回目と100回目では、同じコートが違って見える

これが一番面白いところです。

1回目の人には、

「ボールがいっぱいあるコート」

に見えます。

10回目の人には、

「攻める場所と守る場所があるコート」

に見えます。

100回目の人には、

「次の展開を作るための情報が詰まったコート」

に見えてくる。

コートは変わっていません。

変わったのは、見る側です。


だからボッチャは「やればやるほど難しくなる」

普通なら、

「上達すれば簡単になる」

と思います。

もちろん投球技術は上達します。

でも、ボッチャは知れば知るほど、

「もっと考えなければいけない」

ことに気づきます。

1回目には見えなかった選択肢が、

10回目には見えてくる。

10回目には見えなかったリスクが、

100回目には見えてくる。

つまり、

上達するほど、「簡単なゲーム」ではなくなっていく。

これがボッチャの面白さです。


1回目 → 10回目 → 100回目

まとめると、

経験見えているもの考えていること
1回目ボール「近づけたい」
10回目配置「どこに置く?」
100回目展開「この一球で何が起きる?」

そして、さらに上のレベルになると、

「相手は、この状況をどう考えている?」

まで考える。

ここまで来ると、ボッチャは完全に読み合いです。


だから、100回やった人は「100倍上手い」のではない

ここも大事です。

1回の経験と100回の経験の違いは、

単純な技術の差だけではありません。

「見えている世界の広さ」

が違います。

初心者には「ただの一球」。

経験者には「次につながる一球」。

上級者には、

「相手の次の選択まで含めた一手」。

同じ一球でも、その意味が変わっていきます。


ボッチャは「投げるスポーツ」から「考えるスポーツ」へ

最初は、

投げることが楽しい。

10回やると、

狙うことが楽しくなる。

100回やると、

考えることが楽しくなる。

そしてさらに続けると、

「相手が何を考えているのか」を読むことが楽しくなる。

ここまで来ると、

もう単純な「ボールを近づけるゲーム」ではありません。


最後に

ボッチャを100回やった人が見ているのは、

ボールだけではありません。

そのボールの先にある、

次の一球。

そのまた先にある、

相手の選択。

さらにその先にある、

試合の流れ。

を見ています。

だから、ボッチャの面白さは、

「何回やったか」ではなく、何回やることで「何が見えるようになったか」。

なのかもしれません。

1回目は、ボールを見る。
10回目は、配置を見る。
100回目は、展開を見る。

そして、もっとやり込むと――

「相手の頭の中」を見るようになる。

これが、ボッチャという競技の奥深さです。

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じゃっくまん

JACKMAN

JAPAN BOCCIA CLUB 代表

「たのしそー」から「たのしむへ」それが、最初でした。
投げて、考えて、ときには教えて。
「やってみたら」「できちゃって」
スポーツの見方が変わったり、人との出会いが増えたり、
「うれしかったり」「ドキドキしたり」
今まで気にしなかった「なぜ?」が気になったり。
そして気づけば、
ボッチャに関わることで、世界の見え方まで変わっていました。
「笑顔になったら」「輝いた」
そんな、ボッチャから広がる世界を
じゃっくまん目線で綴っています。

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