ドラクエとボッチャは、なぜ似ているのか?

―「強くなる」とは、レベルが上がることではない

「ドラクエ」と「ボッチャ」。

一見すると、まったく別の世界です。

勇者がモンスターと戦うRPGと、ボールを投げてジャックボールに近づけるスポーツ。

ところが、

「上達するとは何か?」

という視点で考えると、驚くほど似ています。


最初は「やってみる」

ドラクエを始めたばかりの頃は、

「スライムが出てきた!」

「攻撃しよう!」

と、とにかく目の前の敵と戦います。

ボッチャも同じです。

「白いボールに近づけよう!」

まずはそれだけ。

どちらも最初は、

目の前にあるものに反応する。

これで十分楽しめます。


でも、慣れてくると「次」を考える

ドラクエを少し進めると、

「この敵にはこの攻撃が効く」

「MPを使いすぎると次が苦しい」

「ここで回復しておこう」

と考えるようになります。

ボッチャも、

「今は寄せる?」

「ヒットする?」

「このボールを置いたら相手はどうする?」

と考えるようになる。

つまり、

初心者は「今」を見る。

経験者は「次」を見る。

ここが共通しています。


さらに進むと「今の行動」を疑い始める

ドラクエで面白いのは、

「敵を倒せばいい」だけではない

ことです。

目の前の敵を倒すためにMPを全部使ったら、その後の戦闘で困る。

だから、

「今はこの呪文を使わない」

という選択が生まれます。

ボッチャも同じです。

「今、1点取れる」

だからといって、必ず取りに行くわけではありません。

「ここで攻めたら、相手に逆転のチャンスを与える」

なら、

あえて1点を取らせる。

つまり、

今の得点より、次の展開を優先する。

この感覚は、ドラクエの戦略とよく似ています。


「強い武器」を持っている=強い、ではない

ドラクエでは、強い武器を手に入れると嬉しい。

でも、強い武器を持っているだけで勝てるわけではありません。

いつ使うか。

誰に使うか。

MPやアイテムをどう管理するか。

それが重要です。

ボッチャも同じ。

「ヒットが上手い」

「ロングアプローチができる」

「ジャックを動かせる」

という技術を持っていても、

使うタイミングを間違えれば、むしろ自分を苦しめます。

だから、

技術の強さと、選択の強さは違う。


ドラクエの「経験値」は、ボッチャでは何なのか?

ドラクエでは敵を倒すと経験値が入ります。

経験値が増えるとレベルが上がる。

でもボッチャには、

「100回やったらレベル10」

という仕組みはありません。

それでも、経験によって確実に変わるものがあります。

それは、

「見えるもの」

です。

初めての人は、

「どのボールが近い?」

と見る。

経験者は、

「次にどのボールが邪魔になる?」

と見る。

上級者は、

「この一球を投げたら、相手は何を選ぶ?」

と見る。

つまりボッチャにおける経験値とは、

投球回数だけではなく、「状況を見るための経験」

なのです。


そして、ドラクエにもボッチャにも「正解」は一つではない

ドラクエなら、

「攻撃する」

「防御する」

「回復する」

「逃げる」

など、いくつもの選択があります。

ボッチャも、

「寄せる」

「ヒットする」

「ジャックを動かす」

「守る」

「相手に1点を取らせる」

などがあります。

そして重要なのは、

正解が毎回変わること。

昨日は正解だった一手が、

今日の状況では悪手になる。

これがゲームの面白さです。


「レベルが上がる」とは何か?

ドラクエなら、レベルが上がれば能力値が上がります。

でも、プレイヤー自身も上達しています。

最初は、

「何をすればいいか分からない。」

だったのが、

「この場面なら、この方法がいい。」

と判断できるようになる。

ボッチャも同じ。

最初は、

「どこに投げればいいか分からない。」

10回くらいやると、

「ここに投げると良さそう。」

100回やると、

「ここに投げると、相手はこうする可能性が高い。」

さらに経験すると、

「相手なら、ここを狙ってくる。だから先に……」

となる。

これは、

選手自身の“判断力”がレベルアップしている

ということです。


そして、最も似ているのが「自分だけの攻略法」

ドラクエには、

「この場面ではこの戦い方」

という攻略法があります。

でも、プレイヤーによって戦い方は違います。

ボッチャも同じ。

徹底的にヒットを得意にする人。

アプローチを磨く人。

ジャックを動かすのが得意な人。

守備的に試合を組み立てる人。

相手を苦しめる配置を作る人。

同じルールなのに、

プレイヤーによってゲームの見え方が違う。


ボッチャは「リアルタイム・ドラクエ」?

もちろん、ドラクエそのものではありません。

ドラクエには、

経験値。

レベル。

装備。

呪文。

HP。

MP。

という明確な成長システムがあります。

ボッチャにはありません。

でも、プレイヤーの中では、

経験 → 判断力 → 戦術 → 成功 → さらに経験

という成長が起こります。

だから、あえて言えば、

ボッチャは「自分自身がレベルアップしていくゲーム」

とも考えられます。


そして、最大の違いが面白い

ドラクエでは、

ゲームの中のキャラクターが成長します。

ボッチャでは、

ゲームをしている自分自身が成長します。

ここが決定的に違います。

レベル99の勇者はゲームの中にしか存在しません。

でも、

100回、500回、1000回とボッチャを続ければ、

昨日の自分より、

少し先の未来を読める自分

になっている。


「ボッチャはゲームなのか?」という問いにもつながる

以前の記事で考えた、

「ボッチャはスポーツなのか?ゲームなのか?」

という問い。

ドラクエと比較すると、さらに面白くなります。

ボッチャには、

ゲームのような、

「選択」

「戦略」

「読み合い」

「リスク管理」

があります。

一方で、

自分の身体を使って投球し、

技術を磨き、

実際の相手と競う。

つまり、

ゲーム性とスポーツ性が同時に存在する。

ここがボッチャの特殊なところなのかもしれません。


最後に

ドラクエをやり始めたばかりの頃は、

「敵を倒す」

ことしか考えていません。

でも、やり込むと、

「この先を考えて、今どう動くか」

を考えるようになります。

ボッチャも同じです。

最初は、

「ボールを近づける。」

それが、

「どこに置く?」

になり、

「相手はどうする?」

になり、

最後には、

「この一球で、試合の未来をどう変える?」

になる。


ボッチャの「レベルアップ」は、上手くなることではない。

自分の見えていなかったものが、見えるようになること。

それが、ボッチャにおける「経験値」なのかもしれません。

そして、もっと面白いのは――

レベルが上がるほど、正解が分からなくなる。

なぜなら、見える選択肢が増えるから。

そこから先は、

「正解を探すゲーム」ではなく、「自分で最善を選ぶゲーム」

になる。

それが、ドラクエにも、ボッチャにも共通する、

「ゲームの奥深さ」

なのではないでしょうか。

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じゃっくまん

JACKMAN

JAPAN BOCCIA CLUB 代表

「たのしそー」から「たのしむへ」それが、最初でした。
投げて、考えて、ときには教えて。
「やってみたら」「できちゃって」
スポーツの見方が変わったり、人との出会いが増えたり、
「うれしかったり」「ドキドキしたり」
今まで気にしなかった「なぜ?」が気になったり。
そして気づけば、
ボッチャに関わることで、世界の見え方まで変わっていました。
「笑顔になったら」「輝いた」
そんな、ボッチャから広がる世界を
じゃっくまん目線で綴っています。

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